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2007年10月12日 (金)

判例紹介(クロム酸鉛顔料およびその製法事件)

 今日から口述試験が始まりますね。受験される方はくれぐれも遅刻のないように、試験会場へ向かってくださいね。

 さて、今回は、以前の記事でお約束した一事不再理(特許法167条)に関する判例をご紹介します。

【事件】
 最(一)平成12年1月27日(クロム酸鉛顔料およびその製法事件)

【要旨】
 同一の事実及び同一の証拠に基づく2つの特許無効審判の請求がされた場合において、そのうち1つの審判についての請求不成立審決が確定し、その登録がされたとしても、他の審判の請求は適法である(167 条に違反しない)。

【ひとこと解説】
 
冷静に読めば条文通りの結論を言っているに過ぎませんが、いざ問われたときに本判例を知らないと戸惑ってしまいます。

 条文にあるように「~確定審決の登録があったとき」はそれ以後、同一証拠等に基づく
審判請求ができないのですが、確定審決の登録がある以前にもう1つの審判が請求されていた場合には本条の適用はない、ということが本判決で確認されました。どうも、大正時代に、本判決と異なる見解の判例が出されていたようで、本判決ではその大正時代の判例が変更されました。

 判決理由については以下のような説明がなされています。

(a)一事不再理効は無効審判請求者の審判を請求できるという固有の権利と、特許権の安定という特許権者の利益との調整を図るため、167条所定の場合に限って請求者の権利を制限したものであるから、この規定の適用される場合を拡大解釈すべきではなく、文理に即して解釈することが相当である。

(b)先の請求人が不服申し立てをしなかったときは、後の請求人が遂行してきたそれまでの手続が無に帰すことになり、その利益を失わせ、不合理である。

(c)認容審決と棄却審決に分かれて双方が確定したとしても、認容審決の確定により特許は無効となるため、審決の矛盾・抵触による法的状態の混乱は生じない。


 個人的には「ほんとにそうかなぁ?」と腑に落ちないものがありますが、法律がそうなっているので仕方ありません。もっとも、偉い学者先生等の間でも異論があるようです(知的財産法判例集p50参照)。

 なお、先日の設問(特104条の3)との関係ですが、特104条の3に基づく主張が認められたとしても、そのことはあくまでその訴訟における当事者にのみ拘束力を有するものですから、特167条の一事不再理効が生じるものではない、というようなことを言いたかったのでした。

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