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2009年6月15日 (月)

判例紹介(ナイフの加工装置事件)

 こんにちは、判例案内人です。

 論文式試験に臨まれる方は残り少ない期間を有効に使ってラストスパートしてください!

 さて、好評進行中の最短合格ゼミから、今回は、直前期に確認しておきたい最新判例をご紹介します。

【事件】
 最高裁平成20年4月24日判決(ナイフの加工装置事件)
 (平成18(受)1772 特許権に基づく製造販売禁止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20 年04 月24 日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却大阪高等裁判所 )

【要旨】
 特許権侵害訴訟において特許法104条の3(権利行使制限の抗弁)に基づく主張が認められ、請求棄却判決が確定した後に訂正審決が確定したとき、それが再審事由に当たる可能性はあるが、侵害訴訟における訂正の主張が時機に後れたものである場合には、特許法104条の3第2項の趣旨に照らし、主張が許されない。

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学習のポイント
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 今年注目の判例として、平成20年4月の最高裁判決の事件をご紹介します。
 この事件は、先般(2009.4)に出版されたジュリスト臨時増刊平成20年度重要判例解説において、過去1年間における注目判決の1つとして大きく採り上げられている事件ですので、論文式試験の直前対策として要チェックです。

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解説
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 始めに事案の概要を説明します。なお、理解の便宜上、弁理士試験向けに事実関係を一部簡略化して説明します。

 Xは、「ナイフの加工装置」に係る特許権の特許権者である。Yは、自動刃曲システム(Y製品)を製造販売している。Xは、本件特許権に基づいて、Yに対してY製品の製造販売の差止めおよび損害賠償を求めて訴訟を提起した。Xは、当初、請求項1に係る発明(第1発明)を請求の根拠としていたが、最終的には、請求項5に係る発明(第5発明)を請求の根拠とした。Yは、第1発明および第5発明に係る特許の無効を主張した。

 控訴審においては、第5発明に係る特許は「特許無効審判により無効にされるべきもの」と認められると判断して、特許法104条の3第1項に基づいてXの請求を棄却すべきものとした。ところが、控訴審判決がされた後に、Xは第5発明について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審判を請求し、この訂正を認める審決(本件審決)が確定した。Xは、第1審で第5発明に係る特許には無効理由が存在することが明らかと判断されて以来、1年以上に及ぶ控訴審の審理期間中、第5発明の特許請求の範囲について、2度にわたって訂正審判の請求および取下げを繰り返し、さらには控訴審の口頭弁論終結後にも訂正審判を請求しており、本件審決は5回目の訂正審判の請求に対するものであった。

 Xは、本件審決が確定したことにより、民事訴訟法338条1項8号の再審事由が存し、控訴審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして、上告受理申立てをした。

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 さて、一般的に言えば、訂正によって無効理由が解消され、訂正後の特許請求の範囲を前提にY製品がXの特許発明の技術的範囲に属すると認められることになれば、Xの差止め等の請求が認められることになるから、結果として、原審の判断が違法になるとも考えられ、その場合には、民事訴訟法338条1項8号の再審事由があることになります(民事訴訟法338条1項8号は、判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更された場合には、確定判決に対し、再審の訴えをもって不服を申し立てることができる、という規定です)。

 しかし、本事件では、上述したように5回もの訂正審判請求が繰り返されたという事情を重視し、この事情の下、本事件において再審事由が存するとして控訴審の判断を争うことは、紛争の解決を不当に遅延させるものとして、特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されないと判示されました。

 具体的には、特許法104条の3第2項の規定の趣旨に関して、裁判所は「無効主張のみならず、無効主張を否定し、又は覆す主張も却下の対象となり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を理由とする無効主張に対する対抗主張も、審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められれば、却下されることになるというべきである」と述べています。

 そして、この前提に基づき、裁判所は以下のように判断を示しています。(以下省略。続きは最短合格ゼミにて)

 今回は以上です。

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