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2010年6月30日 (水)

判例紹介(半導体パッケージ事件)

 判例紹介強化月間!ということで、好評進行中のIPコミュニティ最短合格ゼミより、平成21年の知財高裁判例をご紹介します。

【事件】
 知財高裁平成20年11月27日判決(半導体パッケージ事件*)
(*便宜上、独断で事件名を記述しました。)

【要旨】
 特許無効審判については各請求項ごとに個別に審判請求することが許されている点に鑑みると、各請求項ごとに無効審判請求の当否が個別に判断されることに対応して、無効審判請求がされている請求項の訂正請求についても各請求項ごとに個別に訂正請求することが許容され、その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきと考えるのが合理的である。

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学習のポイント
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 今年注目の判例として、平成20年11月の知財高裁の事件をご紹介します。この事件は、近年の注目判決の1つですので、論文式試験の直前対策として要チェックです。本事件では、特許無効審判における訂正請求について、請求項ごとに個別に可否を判断することの是非が判断されました。

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解説
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 始めに事案の概要を説明します。なお、弁理士試験対策として必要な部分だけに着目し、事案を簡略化して説明します。

 本件においては、請求項1に係る発明についての特許について無効審判請求がされ、無効審判において、無効審判請求の対象とされている請求項1のみならず、無効審判請求の対象とされていない請求項2以下の請求項についても訂正請求がされたところ、本件審決は、無効審判請求の対象とされていない請求項2についての訂正請求が独立特許要件を欠くことのみを理由として、本件訂正は認められないとした上で、請求項1に係る発明についての特許を無効と判断した。

 ちょっと分かりにくいかも知れませんが、弁理士試験的に重要なのは「無効審判請求における訂正請求の可否は、請求項ごとに判断されるべきか否か?」という点が争われた、ということです。

 さて、これについて裁判所は、以下のように、訂正請求の可否は請求項ごとに判断されるべき旨を判示しました。少々長くなりますが判示部分を抜粋します。

『無効審判請求されている請求項についての訂正請求は、請求項ごとに申立てをすることができる無効審判請求に対する、特許権者側の防御手段としての実質を有するものと認められる。このような訂正請求をする特許権者は、各請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり、また、このような各請求項ごとの個別の訂正が認められないとするならば、無効審判事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになるといえる。このように、無効審判請求については、各請求項ごとに個別に無効審判請求することが許されている点に鑑みると、各請求項ごとに無効審判請求の当否が個別に判断されることに対応して、無効審判請求がされている請求項についての訂正請求についても、各請求項ごとに個別に訂正請求することが許容され、その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきと考えるのが合理的である。
 以上のとおり、特許無効審判手続における特許の有効性の判断及び訂正請求による訂正の効果は、いずれも請求項ごとに生じ、その確定時期も請求項ごとに異なるものというべきである。
 そうすると、2以上の請求項を対象とする特許無効審判の手続において、無効審判請求がされている2以上の請求項について訂正請求がされ、それが特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である場合には、訂正の対象になっている請求項ごとに個別にその許否が判断されるべきものであるから、そのうちの1つの請求項についての訂正請求が許されないことのみを理由として、他の請求項についての訂正事項を含む訂正の全部を一体として認めないとすることは許されない。そして、この理は、特許無効審判の手続において、無効審判請求の対象とされている請求項及び無効審判請求の対象とされていない請求項の双方について訂正請求がされた場合においても同様であって、無効審判請求の対象とされていない請求項についての訂正請求が許されないことのみを理由(この場合、独立特許要件を欠くという理由も含む。)として、無効審判請求の対象とされている請求項についての訂正請求を認めないとすることは許されない。』

今回は以上です。

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